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鮎とチャレンジャーとフォロワーと死神

  移動販売独特の買い方に「つられ買い」があります。

ご近所さん同士集まって買っていただく時に、「これ、美味しかったよ!」とどなたかがおっしゃると、他の方もつられて「じゃあ、私も!」と買ってくださる事があります。
  販売員の立場からの言葉より、説得力もあるし、人が買ってると自分も欲しくなるようです。
ですから、ある場所A では、干物ばっかり売れたり、ある場所Bでは果物が集中して売れたりする現象が起こります。
 ここで、ロジャースのマーケティング理論を、移動販売にひん曲げて、僕流にムチャクチャに押し込めて解釈すると…。
お客様を、購買特性別に、大きく3つに分けてみます。
  購買特性 買い物の傾向
   チャレンジャー

 好奇心旺盛で、珍しいもの・新しいものが好き。

その場のムードメーカータイプ。

  フォロワー

「流行っている」「おいしかったよ」などの評価を参考にするタイプ。

周囲に溶け込む順応性がある。

  ラガード

自分の信念に基づき、周りに左右されず、これと決めた同じものをずっと買うタイプ。

 どの方も、長所があり、ありがたいお客様です。

 

 ○チャレンジャーのお客様は、明るくて社交的。ノリが良く、オススメしていて、楽しい方です。

  この方の「おいしかったよ」は周囲のお客様にとても影響力があります。

 

 ○フォロワーのお客様は、協調性のある方々です。日本人に多いタイプですね。

  販売数のカギはこのお客様が握っています。

 

 ○ラガードのお客様は、まじめで、根気強く信頼されやすいタイプの方です。

  いったん気に入って頂くと、末永くその商品を買っていただけるし、仕入数の計算が立つありがたいお客様です。

 

ちなみに、僕は「ラガード」の中でも、「死神」と呼ばれる部類です。

流行は全く追わない。むしろ、流行っていたりすると意固地に買わないです。

我が家のメインのテレビはいまだにブラウン管です。

子供の学校の先生が家庭訪問に来たとき、「映るんですか?」と言われました。

地デジで「買い換えないと映らなくなる!」なんて言われると、「壊れてないのに、なんで買い換えなアカンねん!」と映る方法を調べたくなります。

 こういった人間は、経済効果を生まないから、マーケッターにとって厄介な、俗称「死神」です。

いまだにガラケーだしね。

 

 やっと、本題です。

 

「鮎」の美味しさに感動しました。

仕入れてきた鮎を焼いて、食べたところ、あまりの美味さにビックリ!

家族も絶賛。高校生の息子も「また買ってきて」と言うくらいです。

スーパーにも売っているはずなのに、何がどう違って、こんなに味が違うのか、分かりません。

 

 今まで、川魚はクセがある、鮎は懐石に出てくる、カチカチでボソボソ・・・。というイメージでした。

この感動を、お客様にお伝えしたいと、一生懸命言うのですが・・・。

 

 やはり、皆さんも同じイメージをお持ちのようで、あまり買ってもらえません。

でも、ここで「チャレンジャー」のお客様が買って下さるンですよね。

そして、次週、案の定、「あの鮎、メッチャ美味しい!」のお声が。

それから、フォロワーの方々が、「それなら私も・・・。」となっていきます。

 

 こうやって、一つ一つの商品が看板商品へと育っていくのですね。

ですから、何年かけてでも、自分が美味しいと思え、お客様に喜んでいただけると思える商品はゆっくりと育てていく事が大切かなと思っています。

 

 これが、商品に対する、ウチの考え方です。今までもこれからも変わらないです。

 

あの鮎はまだ、チャレンジャーのお客様のうち、ごくごく一部しか浸透していません。

まだまだ、これからの商品です。